2025.11.04 犬や猫の発作は病気のサイン?症状と正しい対応を解説
「突然、愛犬や愛猫がけいれんを起こして倒れた…」「何が起きたのか分からずパニックになってしまった…」といった経験をしたことはありませんか?
発作は、見た目のインパクトが非常に強く、初めて目の当たりにした飼い主様は驚き、どう対処してよいのか分からなくなってしまうことが多い症状です。しかし、事前に正しい知識と冷静な対応を知っておくことで、万が一のときにも落ち着いて行動することができます。
そこで今回は、犬や猫に見られるけいれん発作の症状や考えられる原因、適切な対処法、そして病院での診断方法、治療方法などを解説します。

■目次
1.発作とは?
2.発作の種類
3.原因
4.診断方法
5.治療方法
6.発作が起きた時の対処法
7.発作時の記録の取り方
8.まとめ
発作とは?
発作とは、病気などの影響によって体に突然現れる異常な症状を示します。なかでも「けいれん発作」は、脳の神経細胞が一時的に異常な興奮を起こすことで、けいれんや意識消失などの神経症状が現れます。
このような神経の異常によって起こる症状は、見た目の変化も大きいため、他の症状と混同されることがあります。特に注意したいのが「虚脱」や「失神」との違いです。
◆虚脱の場合
急に力が抜けて倒れてしまう状態で、けいれんのような筋肉の痙攣は伴わないことがほとんどです。
◆失神の場合
心臓や循環器系の異常によって意識を失う状態で、こちらも発作とは原因が異なります。
これらと発作の違いを正しく理解しておくことが大切です。
発作の種類
犬や猫の発作には、以下のような種類があります。
<全身性発作>
全身にけいれんが現れる典型的な発作です。体が横に倒れ、手足をバタバタさせたり、全身がこわばったりするのが特徴です。よだれが大量に出たり、尿や便を漏らしてしまったりすることもあります。
<部分発作>
脳の一部に限定された異常な電気活動により、体の一部分のみにけいれんが起こります。たとえば、顔の片側がピクピクと動いたり、前足や後ろ足のどちらか一方だけが引きつるような動きを見せたりすることがあります。意識は保たれていることが多く、軽度の症状でも発作の一種として見逃さないことが大切です。また、部分発作から全身性発作へと進行する場合もあります。
原因
けいれん発作の背景には、以下のようなさまざまな原因が考えられます。
・特発性てんかん(原因不明の慢性的な脳の異常)
・脳腫瘍や脳炎、頭部の外傷
・低血糖
・血液中のカルシウムやナトリウムなどのミネラル異常
・肝臓や腎臓の機能障害
・中毒物質の摂取
このように、発作は単なる一時的な症状ではなく、体の中に潜む重大な疾患のサインである可能性があるため、適切な診断と治療が必要です。
診断方法
発作の診断は、以下のような流れで実施します。
①問診
発作が起きたタイミングや発作前の状況、持続時間、回数などを細かく伺います。「排泄中だった」「遊んでいた」「寝起きだった」など、何気ない状況の違いも重要なヒントになります。
②血液検査
脳以外の臓器、特に肝臓や腎臓、血糖値、ミネラルの異常がないかを確認します。
③神経学的検査
四肢の動きや反射の有無、瞳孔の反応などを調べ、神経系に異常が出ていないか評価します。
④画像検査(CT・MRIなど)
必要に応じて脳の画像検査を実施し、腫瘍や脳炎などの明確な異常がないかを確認します。
診断を進めるうえで、発作の様子を記録した動画があると、より正確な診断につながります。なお、当院では、ご来院前に無理のない範囲で動画を撮影・ご用意いただけると診察時に大変参考になります。
治療方法
診断によって発作の原因が明らかになった場合には、その原因に合わせた適切な治療を行います。
◆てんかんの場合
抗てんかん薬を投与し、肝臓や腎臓に問題がある場合は内科的治療を行います。
◆腫瘍の場合
腫瘍が発見された場合には、外科手術や放射線治療などの選択肢も検討されます。

当院では、病気の進行度や年齢、体調なども考慮しながら、犬や猫にとって最善の治療法を飼い主様と一緒に考えていきます。
何かわからないことがありましたら、お気軽にご相談ください。
発作が起きた時の対処法
発作が起きたとき、飼い主様がまず意識すべきことは「落ち着くこと」です。発作の最中は焦ってしまいがちですが、冷静な対応が愛犬や愛猫の安全を守るうえで非常に大切です。また、発作が見られたら、以下の点に注意してください。
・危険な物(家具の角、階段など)から離れた場所へそっと移動させる
・押さえつけたり、体を揺さぶったりしない
・口に手を入れたり、舌を引っ張ったりしない
また、以下のような場合は早急な受診が必要です。
・発作が5分以上続いている
・1日に何度も繰り返す
・発作後も意識が戻らない、もしくは様子がおかしい
このような場合は脳に大きなダメージが加わるリスクがあるため、すぐに動物病院に連絡してください。
発作時の記録の取り方
正確な診断のためには、飼い主様による観察と記録がとても重要になります。発作が起きた際には、以下の点を記録しておくとスムーズな診断や治療につながります。
<動画撮影のポイント>
・発作の最初から最後までを記録する
・可能であれば全身と顔が映るようにする
<記録しておきたい項目>
・発作が始まった時間
・持続時間(何秒、何分続いたか)
・発作の頻度(1日何回起きたか、これまでに何か月に1回程度あったのか)
・発作前後の様子(普段と違う鳴き声、歩き方の異常、食欲の変化など)
これらの記録は、獣医師が発作のタイプを判断し、適切な検査や治療方針を決めるうえで大きな助けとなります。
まとめ
犬や猫のけいれん発作は、突然起こるために強い不安を感じる症状です。しかし、発作の原因を理解し、冷静に対処し、正確な情報を記録することで、適切な診断と治療に繋げることができます。
特に、発作の動画や発症状況の記録は、動物病院での診断精度を大きく高める重要な手がかりとなります。発作が起きた際には、慌てず安全を確保しながら、できる範囲で記録を行いましょう。
当院では、犬や猫のけいれん発作に関して、専門的かつ丁寧な診療を行っております。飼い主様の不安なお気持ちに寄り添いながら、一緒に原因を特定し、適切な治療法を考えていくことを大切にしています。発作の症状でお悩みの際は、いつでもご相談ください。
高知県南国市の『なんごくアニマルクリニック』
TEL:088-863-0039
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