2026.10.01 犬のチェリーアイとは?目頭にできる赤いふくらみの原因と手術
犬の目頭に赤いふくらみが表れると「目の病気ではないか」「すぐに受診した方がよいのだろうか」と不安になる飼い主様も多いのではないでしょうか。
目頭がさくらんぼのように赤く、プクッと膨らんでいる場合は「チェリーアイ」の可能性があります。チェリーアイは緊急性が比較的低い場合もありますが、放置すると炎症や角膜への刺激につながることがあります。
また、目の赤みには早急な治療が必要な病気も含まれるため、自己判断で様子を見続けず、動物病院を受診することが大切です。
今回は、犬のチェリーアイの見分け方や原因、検査、手術、再発の可能性について解説します。

■目次
1.犬のチェリーアイとは?
2.チェリーアイの原因と発症しやすい犬種
3.チェリーアイの見分け方|目頭の赤いふくらみが特徴
4.受診の目安
5.チェリーアイの検査と手術
6.手術後に再発することはある?
7.まとめ
犬のチェリーアイとは?
チェリーアイの正式名称は「第三眼瞼腺脱出」です。目頭にある第三眼瞼腺が本来の位置から飛び出し、赤いふくらみとして見えている状態を指します。
犬には、上下のまぶたのほかに「第三眼瞼」と呼ばれる膜があります。第三眼瞼腺はその内側にある組織で、涙の分泌に関わり、目の表面を乾燥や刺激から守る役割を担っています。
この第三眼瞼腺が外へ飛び出すと、さくらんぼのような赤いふくらみに見えることから「チェリーアイ」と呼ばれています。
チェリーアイは、特に1歳未満の子犬で多くみられます。ただし、成犬になってから発症することもあるため、年齢だけで否定することはできません。
チェリーアイの原因と発症しやすい犬種
チェリーアイの詳しい原因は、まだ明確には解明されていません。しかし、第三眼瞼腺を本来の位置に保つ組織が生まれつき弱いことなどが、発症に関係すると考えられています。
比較的発症しやすいとされている主な犬種は、次のとおりです。
・フレンチ・ブルドッグ
・イングリッシュ・ブルドッグ
・ビーグル
・アメリカン・コッカー・スパニエル
・ペキニーズ
・シー・ズー
・キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
ただし、これら以外の犬種やミックス犬でも発症する可能性があります。
最初は片目だけに表れ、しばらくしてから反対側の目にも発症することがあります。また、一度引っ込んでも、再び第三眼瞼腺が飛び出してくる場合があります。
チェリーアイは、飼い主様のお手入れや接し方が直接の原因となる病気ではありません。異変に気づいたらご自身を責めず、まずは動物病院へご相談ください。
チェリーアイの見分け方|目頭の赤いふくらみが特徴
チェリーアイの特徴は、白目全体が赤くなるのではなく、目頭に赤色やピンク色の組織が丸く膨らんで見えることです。小さなふくらみとして見えることもあれば、目の一部を覆うほど大きく飛び出すこともあります。
チェリーアイに伴って、次のような症状が表れる場合もあります。
・涙が増える
・目やにが出る
・目を細める
・前足で目をこする
・白目が充血する
・ふくらみの表面が乾燥する
ただし、目頭に赤い組織が見えていても、チェリーアイとは限りません。第三眼瞼の炎症や腫瘍など、別の病気が隠れている可能性もあります。正確に見分けるには、動物病院での検査が必要です。
なお、目をこする、しきりに目を細める、目を開けにくそうにするなどの様子は、痛みのサインである可能性があります。赤いふくらみを自宅で押し戻したり、人用の目薬を使用したりせず、獣医師の診察を受けましょう。
受診の目安
チェリーアイは緊急性が比較的低い場合もあります。しかし、目の赤みだけでは、チェリーアイと早急な治療が必要な病気を飼い主様が見分けることは困難です。
例えば、目の赤みは、結膜炎のほか、角膜の傷や潰瘍、緑内障、ぶどう膜炎などでも表れます。特に緑内障やぶどう膜炎は、視力に影響する可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。
次のような症状がみられる場合は、できるだけ早く動物病院へご相談ください。
・強い痛みがありそう
・目を開けられない
・急に目が赤くなった
・黒目が白く濁っている
・左右の瞳孔の大きさが違う
・眼球が大きく見える
・目をぶつけた可能性がある
・急に物へぶつかるようになった
・元気や食欲も低下している
痛みなどがなく、目頭に赤いふくらみだけがみられる場合も、長期間の放置は避けましょう。一度引っ込んだ場合でも、繰り返し表れるときは受診をおすすめします。
チェリーアイの検査と手術
診察では、赤いふくらみの位置や形を確認し、角膜の傷、充血、痛みなどの有無を調べます。必要に応じて、涙の量を測る検査、角膜の傷を確認する検査、眼圧検査なども行い、ほかの目の病気が隠れていないかを確認します。

炎症や目やにがある場合は、点眼薬などを使用することがあります。ただし、点眼薬だけでは、飛び出した第三眼瞼腺を本来の位置へ安定させることが難しいため、チェリーアイの基本的な治療は手術です。
手術では、第三眼瞼腺を切除せず、本来の位置へ戻して固定する方法が一般的です。第三眼瞼腺は涙の分泌に関わっているため、切除すると将来的に乾性角結膜炎、いわゆるドライアイを起こすリスクが高まる可能性があります。そのため、現在はできる限り第三眼瞼腺を温存する方法が選択されます。
手術には複数の方法があり、脱出の状態や第三眼瞼腺の大きさ、これまでの治療歴などを確認したうえで、その犬に適した術式を検討します。
手術後に再発することはある?
チェリーアイは、1回の手術で良好な状態を保てる犬がいる一方、術後に再発することもあります。状態によっては、2回、3回と複数回の手術が必要になるケースもあり、治療経過には個体差があります。
再発の可能性があるからといって、必ず手術が失敗したというわけではありません。第三眼瞼腺の大きさや炎症の程度、組織の状態、目をこする刺激など、さまざまな要因が関係します。
術後は、獣医師の指示に従って点眼薬や内服薬を使用し、エリザベスカラーを装着して目をこすらせないことが大切です。また、見た目が落ち着いていても、指示された時期に再診を受けましょう。
赤いふくらみが再び表れた場合や、目やに、充血、痛そうな様子などがみられた場合は、次の診察日を待たずに動物病院へご相談ください。
まとめ
子犬の目頭に赤色やピンク色のふくらみがみられる場合は、チェリーアイの可能性があります。チェリーアイ自体は緊急性が高くないことも多いものの、基本的には手術による治療が検討され、術後に再発する可能性もあります。
また「目が赤い」という症状のなかには、ぶどう膜炎や緑内障など、早急な診断・治療が必要な病気も含まれています。チェリーアイだと自己判断せず、目を痛そうにしている、開けにくそうにしているなどの症状があれば、早めに受診しましょう。
当院には、眼科診療を担当する獣医師が2名在籍しており、目の検査から外科手術まで対応しています。
また、当院では、待ち時間の短縮と円滑な診療のため、予約制を導入しています。目頭にできた赤いふくらみや目の充血が気になる場合は、事前にネットまたはお電話でご予約ください。
※治療方法や手術の適応、術後の経過は、犬の状態によって異なります。診察と検査の結果を踏まえ、飼い主様とご相談しながら治療方針を検討します。
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