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2025.07.02 犬の耳のかゆみ・においは病気のサイン?|原因と適切な対処法を獣医師が解説

高温多湿な時期になると、愛犬が耳をかゆがるしぐさや、気になるにおいに気づく飼い主様が増えてきます。たとえば、頭を振ったり、耳を床や家具にこすりつけたりする様子が見られることがありますが、これらは単なる癖ではなく、耳に何らかの違和感やかゆみがあるサインの可能性があります。

犬の耳の異常は、飼い主様が日々のスキンシップの中で最も気づきやすいポイントのひとつです。実際に、症状が軽いうちに対処することで、治療期間も短く、犬への負担も最小限に抑えることができます。

今回は、犬の耳のかゆみやにおいが気になるときに考えられる原因や治療方法、ご家庭でできる予防などについて詳しくご紹介します。

■目次
1.犬の耳トラブルで見られる主な症状とサイン
2.耳トラブルが起こりやすい時期と主な原因
3.治療方法
4.ご家庭でできる予防と日常ケアのポイント
5.動物病院を受診すべきタイミング
6.まとめ

 

犬の耳トラブルで見られる主な症状とサイン

犬が耳を気にしているサインとして最もよく見られるのが、頭を頻繁に振る、耳を床や家具にこすりつけるといった行動です。これは、耳の中に違和感やかゆみを感じているサインであるため、放置すると症状が悪化する恐れがあります。

また、耳のにおいも重要な観察ポイントです。特に「マラセチア」という酵母菌が関与している場合には、独特のにおいが強く感じられます。この状態が続くと外耳炎へと進行し、慢性化することもあります。少しでも気になるにおいがした場合は、早めに動物病院へ相談することをおすすめします。

 

耳トラブルが起こりやすい時期と主な原因

耳のトラブルは、梅雨から夏にかけての高温多湿な時期に特に多く見られます。湿度が高まると耳の中が蒸れてしまい、細菌や酵母菌が繁殖しやすくなります。

垂れ耳の犬種は耳の通気が悪く、湿気や汚れがこもりやすいため、特に注意が必要です。ただし、立ち耳の犬種であっても耳トラブルを起こすことがあるため、犬種にかかわらず耳のケアは定期的に行いましょう。

また、外耳炎は初期には軽いかゆみのみで始まることが多いですが、放置すると炎症が進み、膿や強いにおいが発生したり、痛みのために耳に触れられるのを嫌がるようになったりします。

 

治療方法

犬の耳のトラブルは以下のように、症状の程度に応じて治療方法が異なります。

 

<軽い症状の場合>

犬が耳を少しかゆがる程度の軽い症状であれば、動物病院で点耳薬を処方し、1週間ほど使用することで改善するケースがほとんどです。この段階での治療は短期間で済み、費用や犬への負担も少なく抑えられます。

 

<症状が進行している場合>

耳の奥に膿や汚れがたまってしまった場合は、週に1~2回の耳洗浄が必要になります。治療期間が数週間におよぶこともあり、犬にも飼い主様にも負担が大きくなります。さらに重症化すると、内耳や神経にまで影響を及ぼし、治療に長期間を要することや、後遺症が残る可能性もあります。

 

このように、早めに受診して適切な治療を行うことで、治療期間も短縮され、犬にとっても飼い主様にとっても安心して過ごすことができます。

 

ご家庭でできる予防と日常ケアのポイント

耳トラブルを予防するためには、日常的な観察と環境管理が非常に効果的です。特に日頃から以下をチェックしましょう。

・耳の中に赤みがないか
・汚れや耳垢がたまっていないか
・鼻を近づけたときににおいがしないか

また、こうしたチェックに加えて、定期的に耳の中を清潔に保つことも大切です。耳掃除の方法は以下の通りです。

 

<正しい耳掃除の方法>
①耳掃除専用のクリーナーを準備する

必ず動物用の耳洗浄液(イヤークリーナー)を使いましょう。人間用の消毒液やアルコールは刺激が強すぎるため、使用しないでください。

 

②犬を落ち着かせ、耳の状態を確認する

掃除を始める前に、耳の中を軽くチェックします。赤みや腫れ、強いにおい、分泌物が見られる場合は、耳掃除を行わず動物病院を受診してください。

 

③耳の中にクリーナーを入れる

犬の耳を軽く引っ張って耳道をまっすぐにし、クリーナーのノズルを浅く差し込み、適量を入れます。無理に奥まで入れないように注意しましょう。

 

④耳の付け根をやさしくマッサージする

洗浄液が耳の中にしっかり行き渡るように、耳の付け根を30秒ほどもみほぐすようにマッサージします。くちゃくちゃと音が聞こえれば、うまく洗浄液が広がっています。

 

⑤犬が頭を振るのを待つ

マッサージの後、犬が自然に頭をブルブル振ります。これにより耳の中の汚れや余分な液体が外へ押し出されます。周囲が汚れないよう、タオルなどを用意しておくと安心です。

 

⑥ガーゼやコットンで汚れを拭き取る

指に清潔なガーゼやコットンを巻き、見える範囲の汚れや液をやさしく拭き取ります。奥まで無理に入れたり、強くこすったりしないようにしましょう。

 

また、綿棒は耳の奥を傷つけたり、汚れをかえって押し込んでしまったりする場合があるため、基本的には使わないことをおすすめします。不安な場合や耳の状態が気になるときは、無理せず動物病院での処置を受けるようにしてください。

 

動物病院を受診すべきタイミング

犬が耳をかゆがったり、においが気になったりする場合には、「様子を見よう」とせず、できるだけ早めに動物病院に相談してください。

また、受診のハードルを感じている飼い主様もいらっしゃいますが、早期に治療を始めることで症状の悪化を防ぐだけでなく、前述したとおり、時間的にも経済的にも負担を減らすことができます。

もし症状が悪化してしまった場合には、耳洗浄や内服薬の使用が必要となり、治療に数週間から数か月を要することもあります。痛みを伴うケースもあるため、「気づいた時点での行動」が最善の予防策といえます。

 

まとめ

犬の耳のかゆみやにおいは、特に梅雨から夏にかけて増える傾向があります。日常の中で見られるちょっとしたサインを見逃さず、早めに対応することが、犬の健康を守るうえで非常に重要です。

また。早期に治療することにより、短期間での改善が見込めるだけでなく、飼い主様の負担も軽減されます。耳のチェックや正しいケアを習慣化することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

当院では、耳の状態に応じた適切な検査や治療を行っており、犬への負担が少ない方法を優先してご提案しております。「いつもと様子が違うかも…」と感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。飼い主様と一緒に、愛犬の健康を守ってまいります。

 

高知県南国市の『なんごくアニマルクリニック』
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