2025.10.31 犬や猫の咳、もしかして心臓病のサインかも?|見逃さないための早期対策
愛犬や愛猫の咳をしている様子を見たとき、「風邪を引いているのかな?」と考えてしまう飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、咳の原因は風邪だけではありません。呼吸器や循環器など、さまざまな疾患のサインとして現れることがあります。
特に小型犬や高齢の犬や猫では、咳が重大な病気の初期症状であることも珍しくありません。そのため、「咳はいつものことだから大丈夫」と放置すると、心臓病など命に関わる病気へと進行してしまう可能性もあるため注意が必要です。
今回は、犬や猫の咳に隠れた病気を見逃さないための観察ポイントや検査方法などについて、ご紹介します。

■目次
1.咳の原因はひとつじゃない|呼吸器と循環器の違い
2.ご自宅でできる!咳と呼吸の観察ポイント
3.早期発見のカギは「循環器診断」|当院の強み
4.呼吸が苦しそうなときは|ICU設備での緊急対応も可能
5.プレシニア期からの予防が、未来の健康を守る
6.歯周病治療前にも要チェック|麻酔前検査で咳の原因が見つかることも
7.まとめ|ちょっとした咳が、健康のヒントになることも
咳の原因はひとつじゃない|呼吸器と循環器の違い
咳には、以下のように原因となる病気がいくつか存在します。
<呼吸器疾患>
主に気管支炎や肺炎、アレルギーなどが挙げられます。これらは活動中や日中に咳が出やすい傾向があります。
<循環器疾患>
特に犬では、「僧帽弁閉鎖不全症」という心臓の弁の異常がよく見られます。このような循環器疾患による咳は、運動後や夜間、安静時に悪化しやすいという特徴があります。
なお、以下のような症状が見られたら、単なる風邪ではなく、心臓病が隠れている可能性があるため、早めの受診をおすすめします。
・寝ているときに咳が増える
・運動のあとに激しく咳き込む
・咳が長引いてなかなか止まらない
ご自宅でできる!咳と呼吸の観察ポイント
咳の早期発見には、飼い主様による日常的な観察がとても大切です。また、動物病院で診察時に症状を正確に伝えるためにも、以下のようなポイントを記録しておくことをおすすめします。
✓咳が出る頻度(どのくらいの回数か)
✓咳の音(乾いた音・湿った音など)
✓咳のタイミング(朝だけ、夜間だけ、運動時など)
さらに、「安静時の呼吸回数」も重要な指標になります。犬や猫がリラックスしている状態で、胸や鼻の動きを数え、1分間あたりの呼吸回数を確認してください。30回を超えている場合には、呼吸に異常がある可能性があります。
当院では、飼い主様にこれらの日常的な呼吸チェックの大切さをお伝えしています。もし、「息が速い」「呼吸が苦しそう」「ぐったりしている」といった症状が見られる場合には、お早めにご相談ください。
早期発見のカギは「循環器診断」|当院の強み
咳の症状が現れた段階で、できるだけ早く循環器の評価を行うことが重要です。当院では、すべての獣医師が心臓エコー(超音波検査)を扱える体制を整えており、専門的な検査をすぐに実施できるようにしています。

また、必要に応じてレントゲン検査や血液検査を組み合わせて、咳の原因を総合的に診断いたします。これにより、心臓病や肺の異常といった重篤な疾患の早期発見が可能となり、迅速な治療につなげることができます。
咳が出始めた時点で、検査を受けるべきか迷われた際も、お気軽にご相談ください。些細な症状であっても、見逃さずに対応することが、愛犬や愛猫の命を守る第一歩になります。
呼吸が苦しそうなときは|ICU設備での緊急対応も可能
特に小型犬では、「肺水腫」や「心不全」など、命に関わる呼吸困難を伴う症状が突然起こることがあります。そのような緊急の状況にも対応できるよう、当院ではICU酸素室を2台完備しており、呼吸管理が必要な状態の犬にもすぐに対応できる体制を整えています。
また、咳の症状に加えて、「呼吸が速い」「ゼーゼーと音がする」「ぐったりして動かない」などの変化が見られた場合には、呼吸器疾患を起こしている可能性があります。
そのため、少しでも様子がおかしいと感じたときは、迷わずに動物病院に連絡してください。
プレシニア期からの予防が、未来の健康を守る
犬や猫は、6〜7歳を過ぎた頃から「プレシニア期(シニア期の準備期間)」に入ります。この時期はまだ見た目では元気に見えることが多いですが、体の中では徐々に老化が始まっています。
特に循環器系の異常は初期症状がわかりにくく、症状が出る頃には進行してしまっていることもあります。そのため、プレシニア期の段階から心臓や肺の状態を定期的に健康診断でチェックし、早期に異常を発見することが大切です。
当院では、生活習慣の見直しや呼吸チェック、塩分制限を含む食事のアドバイスなどを行い、病気の予防と健康維持を多方面からサポートしています。
分からないことがありましたら、お気軽にご相談ください。
歯周病治療前にも要チェック|麻酔前検査で咳の原因が見つかることも
高齢の犬や猫の歯周病治療では、全身麻酔が必要となることが多くあります。このとき、事前に循環器系の検査を行うことがとても重要です。
特に咳の症状がある場合には、麻酔が心臓に負担をかけるリスクがあるため、心臓の状態をしっかりと評価してから治療に臨む必要があります。実際に、歯の治療前検査をきっかけに、まだ自覚症状のない心臓病が見つかるケースも少なくありません。
当院では、歯周病治療とあわせて循環器のチェックも行うことで、安全な治療を提供するとともに、見逃されがちな病気の早期発見にもつなげています。
まとめ|ちょっとした咳が、健康のヒントになることも
咳は、犬や猫からの「小さなSOS」のサインかもしれません。「たまに咳をするだけだから大丈夫」と軽視せず、日常の観察と早めの受診によって、重篤な病気の進行を防ぐことができます。
当院では、咳の背景にある病気を正確に診断し、適切な治療につなげる体制を整えております。循環器診療の専門性を活かし、プレシニア期からの予防医療にも力を入れていることで、飼い主様と大切なご家族の健康をしっかりとサポートいたします。
なにか分からないことやご不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。
高知県南国市の『なんごくアニマルクリニック』
TEL:088-863-0039
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