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2025.11.04 猫がトイレで苦しそう…|尿道閉塞のサインと対処法

最近、猫が「何度もトイレに行っている」「排尿に時間がかかっているように見える」「尿が少ない気がする」といった様子を見ると、心配になる飼い主様も多いのではないでしょうか。

こうした変化の裏に隠れているかもしれない病気の一つが「尿道閉塞」です。これは尿道が何らかの原因で詰まり、尿がうまく体の外に排出できなくなる状態で、放置すると命に関わる危険な疾患です。特に春や秋といった季節の変わり目に多く見られるため、注意が必要です。

そこで今回は猫の尿道閉塞について、症状や診断方法、治療方法、ご家庭でできる予防のポイントなどを解説します。

■目次
1.猫の尿道閉塞とは?
2.症状
3.尿道閉塞を放置するとどうなる?
4.診断方法・治療方法
5.ご家庭でできる予防と観察のポイント
6.まとめ

 

猫の尿道閉塞とは?

尿道閉塞とは、尿道と呼ばれる尿の通り道が、尿石や炎症物質、粘液栓などで詰まり、尿が外に出なくなってしまう状態を指します。この状態になると、膀胱内にどんどん尿がたまり、体内の老廃物が排出できなくなります。

猫の中でも、特にオス猫は尿道の構造上、尿道閉塞を起こしやすとされています。オス猫の尿道は細く、途中で急に狭くなる場所があるため、異物や尿石が詰まりやすいです。

尿道が完全に詰まってしまうと、数十時間のうちに腎臓に深刻な負担がかかり、命に関わる事態に発展することがあります。そのため、早期に異常に気づき、早めに動物病院を受診することが非常に重要です。

 

症状

尿道閉塞の症状は、以下のように進行度に応じて異なります。最初は目立ちにくい場合もありますが、放置すると命に関わる状態に進行していきます。

 

<初期症状>

・トイレに行く回数が増える
・排尿の時間が長いが、出ている量はごく少量
・尿に血が混じっている(血尿)

 

<進行した症状>

・何度もトイレに行くがほとんど尿が出ていない
・排尿の際に鳴く、痛がるような様子がある
・そわそわと落ち着きがなくなる

 

<重度の症状>

・嘔吐や食欲不振がみられる
・ぐったりして動かなくなる
・全身の元気がなくなる(急性腎障害の兆候)

 

特に春や秋は、気温の変化により飲水量が減少しがちな時期です。水分摂取量が減ることで尿が濃くなり、尿石や炎症物質ができやすくなるため、尿道閉塞の発症が増加します。こうした季節の特徴も踏まえ、日常的な観察を心がけることが大切です。

 

尿道閉塞を放置するとどうなる?

尿道閉塞を放置すると、膀胱内にたまった尿が逆流し、腎臓に急激な負担がかかります。その結果、急性腎障害を引き起こし、体内に有害な老廃物が排出できなくなる「尿毒症」という中毒症状に進展するおそれがあります。

さらに、膀胱が過度に膨張して破裂危険性もあり、尿が体内に漏れ出してしまうと、命に関わる状態になります。

そのため、自己判断せず違和感を覚えた段階で、速やかに動物病院を受診することが大切です。

 

診断方法・治療方法

尿道閉塞が疑われる場合、以下のような流れで診断を行います。

①触診で膀胱の状態を確認し、尿が溜まっているかをチェックします。
②尿道閉塞が認められた場合は、専用のカテーテルを用いて尿道を開通させます。
③尿検査や超音波検査、レントゲン検査などを行い、閉塞の原因を特定します。
④全身状態を把握するため、血液検査も行います。

 

<img src="cat_hospital" alt="動物病院で黒猫の診察を行う獣医師。診察台の上で猫を優しく触診しながら健康状態を確認している様子。猫は落ち着いた表情で前を見つめている。">

治療には点滴や投薬が行われ、再閉塞を防ぐ目的でカテーテルを一定期間留置することもあります。無事に尿道が開通した後は、再発を防ぐために食事の見直し(療法食の導入)や生活環境の改善を行うことが重要です。

当院では、泌尿器疾患に対応した検査機器と、複数の獣医師によるチーム医療体制を整えており、緊急時にも安心してご相談いただけます。

なにか分からないことがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

ご家庭でできる予防と観察のポイント

尿道閉塞を未然に防ぐためには、日々の生活の中での「観察」と「予防の工夫」がとても大切です。

 

<ご家庭でできる観察ポイント>

・猫のトイレに行く回数や排尿の様子を毎日チェックする
・排尿時の鳴き声や時間の長さなど、普段と異なる点がないか注意する

また、これらの観察に加えて、定期的な健康診断や尿検査を受けることで、異常の早期発見につながります。

 

<予防のための工夫>

・水分摂取を増やす工夫をする(ウェットフードの活用、自動給水器の設置、水飲み場の複数設置など)
・トイレ環境を清潔に保つ(トイレの数、大きさ、猫砂の質、掃除の頻度など)

なお、猫の好みや性格によって快適と感じる環境は異なります。どのような方法がその子に合っているかのかが分からない場合は、ぜひ当院へご相談ください。

 

まとめ

猫の尿道閉塞は、特にオス猫に多く見られる命に関わる緊急疾患です。春や秋などの季節の変わり目に発症が増加するため、その時期は特に注意が必要です。

「最近よく水を飲むようになった」「トイレに何度も行く」「尿が出にくそう」など、日常の小さな変化に気づいたときには、迷わずご相談ください。数時間から数十時間で命に関わるケースもあるため、早めの判断が重要です。

当院では、飼い主様の不安に寄り添いながら、猫の健康を守るために、迅速で丁寧な診療を行っております。泌尿器疾患に精通したスタッフと設備を整え、緊急時にも対応できる体制を整えています。気になる症状がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

 

高知県南国市の『なんごくアニマルクリニック』
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