2025.12.02 愛猫がたくさん水を飲む?おしっこの量が多い?|猫の糖尿病について獣医師が解説
最近、愛猫が「水をたくさん飲んでいるような気がする」「尿の量が増えた」と感じたことはありませんか?実は、その小さな変化が重大な病気のサインである可能性があります。
猫の「多飲多尿(たくさん水を飲み、たくさん尿を出す)」という症状の背景には、糖尿病や腎臓病など、命に関わる病気が隠れていることも少なくありません。そのため、こうした異変にいち早く気づき、早めに検査や治療を受けることがとても大切です。
今回は猫の糖尿病について、見逃されやすい症状や原因、診断・治療方法などをご紹介します。

■目次
1.猫の糖尿病とは?
2.見逃されやすい初期症状
3.腎臓病との関係|どちらも「多飲多尿」を示すため要注意
4.診断と治療の流れ
5.早期発見のために今できること
6.他院で診てもらったけど心配なときは?|セカンドオピニオンも歓迎
7.まとめ
猫の糖尿病とは?
猫の糖尿病は、体内でインスリンというホルモンが正常に機能しなくなり、血糖値が高い状態が続いてしまう病気です。特に猫では、人と同じように「2型糖尿病」が多くみられます。このタイプは、インスリンの分泌が足りなかったり、インスリンがうまく働かなくなったりすることが原因です。
糖尿病を引き起こす要因には、以下のようなものがあります。
・肥満
・高齢
・慢性的なストレス
・遺伝的な要素
また、血糖値が高いまま放置すると、体内の水分バランスが崩れたり、代謝に異常が生じたりして、全身の臓器に悪影響を及ぼします。進行すると命に関わる合併症を引き起こすため、できるだけ早期に異常に気づくことが重要です。
見逃されやすい初期症状
糖尿病の初期症状は、一見すると日常のちょっとした変化にしか見えないことがあります。代表的な症状は以下の通りです。
・多飲多尿:水をたくさん飲み、尿の量も多くなります。
・体重減少:食欲があるのに、体重が減少します。
・食欲の変化:突然食べなくなったり、逆に過剰に食べるようになったりします。
特に「多飲多尿」は飼い主様が気づきやすいサインですが、猫は症状を隠す動物でもあるため、「元気そうに見えるから大丈夫」と判断してしまうことも多いです。しかし、こうした初期の異常を見逃してしまうと、病気が進行し、命に関わる合併症を引き起こすリスクが高まります。
実際に、当院では他院で「様子を見ましょう」と言われた猫が、その後ケトアシドーシスを発症し、残念ながら命を落としてしまったというケースもありました。そのため、「なんとなく水をよく飲むようになった」と感じたら、早めに動物病院で検査を受けることが、愛猫の命を守る第一歩になります。
腎臓病との関係|どちらも「多飲多尿」を示すため要注意
猫に多く見られる泌尿器系の病気として、腎臓病も挙げられます。実はこの腎臓病も、糖尿病と同じように「多飲多尿」の症状が現れるため、見た目だけではどちらの病気か判断がつきません。
正確な診断を行うには、血液検査や尿検査が必要です。これにより、血糖値や腎臓の機能、尿の成分などを詳細に調べ、糖尿病か腎臓病かを見極めます。
また、糖尿病が進行すると腎臓に大きな負担がかかり、結果として腎臓病を併発してしまうリスクも高まります。そのため、一つの病気だけを見るのではなく、泌尿器系全体を総合的に管理・治療していくことが、猫の健康寿命を延ばすカギになります。
診断と治療の流れ
糖尿病と似た症状を示す疾患は他にも存在するため、症状だけで判断することはできません。そのため、以下のような検査を組み合わせて診断を行います。
・血糖値の測定
・尿糖の確認
・フルクトサミン(過去数週間の血糖の平均を反映する値)の測定
診断後は、インスリン注射による血糖値のコントロールが基本となります。インスリンの種類や投与量は猫の体質や状態により異なるため、一頭ずつ丁寧に調整していきます。
早期発見のために今できること
糖尿病も腎臓病も、早期に発見して適切な治療を始めることで、進行を防ぎ、より良い生活を維持することが可能です。そのために最も有効なのが、定期的な血液検査や尿検査です。
特にシニア猫や、最近水をよく飲む・尿の量が増えたと感じる猫は、早めの検査をおすすめします。
なお、当院では【2026年1月〜2月限定で「猫の健康診断キャンペーン」】を実施予定です。このキャンペーンでは、糖尿病や腎臓病の早期発見に有効な血液検査・尿検査を含む総合健診を行います。「年齢的に少し心配」「なんとなく体調が気になる」と感じている飼い主様は、この機会にぜひご利用ください。
他院で診てもらったけど心配なときは?|セカンドオピニオンも歓迎
「他の動物病院で検査はしてもらったけれど、まだ不安が残る」「治療を始めたけれど、なかなか症状が良くならない」といった飼い主様からのご相談も、当院では数多く受けています。

当院では、糖尿病や腎臓病といった泌尿器系疾患を含め、さまざまな専門分野の獣医師がチームで診療にあたっています。複数の臓器が関わるような複雑な症例にも対応可能であり、猫の体全体を見渡した診断と治療を行うことができます。
飼い主様と猫の生活に寄り添いながら、一緒に最適な治療法を考えていきますので、セカンドオピニオンをご希望の方もどうぞ安心してご相談ください。
まとめ
愛猫が「水をよく飲む」「尿の量が増えた」といった変化は、体から発せられる重要なサインです。たとえ元気そうに見えたとしても、糖尿病や腎臓病が進行している可能性は十分にあります。
特に糖尿病は、早期に発見して治療を始めることで進行を食い止め、生活の質を保つことが可能な病気です。もし「気になるけれど、動物病院に行くほどでもないかも…」と迷っている場合は、放置せず動物病院に相談しましょう。
当院では、糖尿病や腎臓病をはじめとする泌尿器系疾患全般に対応できる体制を整え、飼い主様と大切な猫の健やかな毎日をサポートしています。チーム医療による専門的かつ丁寧な診療を通じて、ご家族が安心して過ごせる時間を支えてまいります。
高知県南国市の『なんごくアニマルクリニック』
TEL:088-863-0039
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