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2025.12.04 犬や猫の「咳」「息切れ」は心臓病のサイン?季節の変わり目に注意したい症状

最近、愛犬や愛猫の「咳がなかなか止まらない」「呼吸がいつもより荒い気がする」と感じたことはありませんか?こうした症状が見られたとき、多くの飼い主様は風邪や呼吸器の不調を疑われます。しかし実は、これらの症状が心臓病のサインである可能性もあるのです。

特に秋から冬にかけての季節の変わり目には、寒暖差や気圧の変動によって心臓にかかる負担が増し、隠れていた症状が表面化しやすくなります。心臓病は進行がゆっくりで初期にはほとんど症状が表れないことも多く、気づいたときにはすでに進行していたというケースも少なくありません。

そのため、「いつもと様子が違う」と感じたときには、できるだけ早めに動物病院を受診することが大切です。

今回は犬や猫の心臓病について、種類や症状、検査方法、治療方法などをご紹介します。

■目次
1.犬や猫の心臓はどんな役割をしているの?
2.犬と猫で多い心臓病の種類
3.心臓病のサインとは?
4.季節の変わり目に悪化しやすい理由
5.検査・治療方法
6.当院の健康診断キャンペーンのご案内
7.まとめ

 

犬や猫の心臓はどんな役割をしているの?

心臓は、全身に血液を送るポンプのような役割を担う重要な臓器です。血液に含まれる酸素や栄養素を身体の隅々まで届け、同時に老廃物を回収して再び肺や腎臓などに運ぶという働きをしています。

しかし、心臓の機能に異常が起こると、血液の循環がうまくいかなくなり、全身に酸素や栄養が十分に行き渡らなくなります。その結果として、疲れやすくなったり、呼吸が浅くなったりといった症状が表れるようになります。

心臓の働きが少しでも落ちてしまうと、身体全体に影響が及ぶため、些細な変化でも見逃さないことが大切です。

 

犬と猫で多い心臓病の種類

犬や猫にみられる心臓病は種類によって症状や進行の仕方が異なりますが、特に以下の病気が多くみられます。

 

<犬の場合:僧帽弁閉鎖不全症>

心臓の左心房と左心室の間にある「僧帽弁」がきちんと閉まらなくなることで、心臓内の血液が逆流してしまう病気です。弁の老化や変性が原因で発症しやすく、特に小型犬や高齢犬に多く見られます。

 

<猫の場合:肥大型心筋症>

心臓の筋肉が異常に厚くなることで心室の内腔が狭くなり、血液を効率よく送り出せなくなる病気です。血流の停滞により血栓ができやすくなり、重篤な合併症である「動脈血栓塞栓症(ATE)」を引き起こすこともあります。

 

これらの心臓病は、初期の段階では無症状であることが多いため、発見が遅れてしまうことも少なくありません。そのため、定期的な健康診断を受けることで、早期発見や予防につながります。

 

心臓病のサインとは?

初期段階の心臓病は目立った症状が出にくいため、飼い主様が異変に気づくことが重要になります。以下のような変化が見られた場合は、心臓病の可能性があるため注意が必要です。

 

<よくみられる初期症状>

・運動や散歩の後に咳をする
・階段を上るのを嫌がる、あるいは途中で立ち止まる
・呼吸が浅くて速い(特に猫は咳が出にくく、呼吸の荒さが目立つ)
・寝ている時間が長い
・食欲の低下

これらの症状は一見すると加齢や疲労のせいにしてしまいがちですが、実際には心臓病の初期段階である場合があります。進行すると肺水腫や不整脈など、命に関わる重篤な状態へ至ることもあるため注意が必要です。

中でも呼吸の変化は、早期に気づける重要なサインです。寝ているときなどリラックスした状態で測った「安静時呼吸数」が1分間に30回を超える場合は、心臓や肺に負担がかかっている可能性があります。そのため、少しでも「いつもと違う」と感じる様子が続くときは、できるだけ早めに動物病院を受診することが大切です。

飼い主様が気づかれる「小さな違和感」こそが、病気の早期発見につながる第一歩です。

 

季節の変わり目に悪化しやすい理由

犬や猫も人間と同様に、季節の変わり目には体調を崩しやすくなります。特に秋から冬にかけての時期は、気温差や気圧の変動によって血圧が乱れやすく、心臓にかかる負担が増すことで心臓病の症状が悪化する傾向があります。

当院でも、この季節には心臓病の症状が急に目立ち始めたというご相談が多く寄せられます。

また、室内外の寒暖差や暖房による乾燥も心臓に影響を与えるため、室温の管理や加湿器の活用など、環境を整える工夫が必要です。年間を通じて存在する症状ではありますが、この時期は特に悪化リスクが高いため、普段以上に注意が求められます。

 

検査・治療方法

心臓病が疑われる場合は、まず問診と聴診を行い、その後以下のような検査を通じて心臓の状態を詳しく調べていきます。

・レントゲン検査
・心電図検査
・超音波(エコー)検査

これらの検査結果をもとに、最適な治療方針を立てていきます。なお、当院では、すべての獣医師が心臓エコー(超音波検査)を扱える体制を整えており、専門的な検査をすぐに実施できるようにしています。

<img src="dog-heart-echo.jpg" alt="小型犬の心臓エコー検査を行い、モニター画像を確認する獣医師の様子">

心臓病の治療は、外科手術による改善が難しいケースも多いため、治療の中心は内服薬となります。血液循環を助ける薬や利尿剤などを組み合わせて使用し、心臓にかかる負担をできるだけ減らせるように管理していきます。

また、病気の進行度や年齢、生活環境によっては、運動量を調整したり、食事内容を見直したりするなど、日常生活のサポートも重要になります。

<img src="dog_checkup_exam.jpg" alt="動物病院で飼い主様に問診を行う獣医師。">

当院では「チーム医療」を大切にしており、各分野に精通した獣医師が連携しながら、その子にとって最適な治療プランを検討しています。検査や治療について分からないことやご不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

当院の健康診断キャンペーンのご案内

当院では、2026年1月から2月の期間限定で「猫の健康診断キャンペーン」を実施予定です。

このキャンペーンでは、腎臓病の早期発見に特化した「血液検査パッケージ(SDMA検査含む)」をご用意しています。初めての健康診断を検討されている方にも安心して受けていただける内容です。

まだ症状が出ていない“今”の時期に、検査を受けていただくことが重要です。検査内容やご不安な点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

 

まとめ

犬や猫の咳や息切れといった症状は、「年のせいだから仕方ない」と見過ごされがちです。しかし、これらは心臓病の初期サインである可能性があり、放置することで命に関わる重篤な状態に進行してしまうこともあります。

特に寒暖差の激しい秋から冬にかけては、心臓への負担が増して症状が悪化しやすくなります。そのため、「少し様子が変だな」と感じたときには、迷わず早めの受診をご検討ください。

当院では、飼い主様と大切なご家族である犬や猫が安心して過ごせるよう、チームで最善の治療とサポートを行っています。心臓病の早期発見と適切なケアを通じて、これからも穏やかな時間を一緒に過ごしていただけるよう、私たちが全力でお手伝いいたします。

 

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