2026.10.01 犬や猫への薬の飲ませ方|錠剤や粉薬を嫌がるときの工夫
「食事に薬を混ぜても残してしまう」
「錠剤だけ器用に吐き出す」
「口を開けようとすると嫌がる」
このように、犬や猫への薬の飲ませ方に悩む飼い主様は少なくありません。
当院でも、診察の際によくご相談いただく内容のひとつです。
薬は口を大きく開けて飲ませる方法だけではありません。口を開けることが難しくても、少量の食べ物や投薬補助食品を使ったり、唇をめくって歯や歯茎に塗ったりする方法があります。
今回は、犬や猫が薬を飲まない理由をはじめ、錠剤や粉薬の飲ませ方、当院が実際にお伝えしている投薬の工夫について解説します。

■目次
1.犬や猫が薬を嫌がるのはなぜ?
2.食事に薬を混ぜる場合は「食べ切れる少量」が基本
3.錠剤・粉薬を飲ませるときの工夫
4.口を開けずに試せる|歯や歯茎に塗る方法
5.無理な投薬を避け、薬の用法を守りましょう
6.まとめ
犬や猫が薬を嫌がるのはなぜ?
犬や猫が薬を飲まない理由は、その子によって異なります。飲ませ方を何度も変える前に、まずは嫌がる理由を考えてみましょう。
犬や猫は人よりも嗅覚が発達しているため、薬特有のにおいや苦味に気づくことがあります。また、普段とは異なる食感を嫌がったり、錠剤を食べ物から選り分けて吐き出したりする子もいます。
さらに、口周りを触られることが苦手な子や、過去に無理な投薬をされた経験がある子では、薬を見ただけで警戒することもあります。
注意したいのが、薬を混ぜたことをきっかけに、普段の食事まで食べなくなるケースです。「食事は食べないのに、おやつなら食べる」という場合は、食欲がないのではなく、一度薬のにおいや味に気づいたことで食事を警戒している可能性も考えられます。
ただし、吐き気や口の痛み、飲み込む力の低下など、体調の変化によって薬を飲めないこともあります。食欲や元気がない、よだれが増えた、口を痛がる、薬以外のものも飲み込みにくそうにしている場合は、動物病院へご相談ください。
食事に薬を混ぜる場合は「食べ切れる少量」が基本
犬や猫に薬を飲ませる際、普段の食事へ混ぜる飼い主様も多いでしょう。しかし、食事全体に薬を混ぜて残してしまうと、どの程度の薬を飲めたのか分からなくなります。また、薬の苦味やにおいに気づき、食事そのものを警戒するようになることもあります。
そのため、当院では、できるだけ「食事は食事、薬は薬」と分けて与えることをおすすめしています。食べ物に混ぜる場合は、最初から食事全体に入れず、一度に食べ切れる程度の少量だけを使用しましょう。
例えば、次の順番で与える方法があります。
①薬の入っていない食べ物をひと口与える
②薬を包んだ少量の食べ物を与える
③すぐに薬の入っていない食べ物を与える
テンポよく与えることで、薬を包んだ食べ物もそのまま飲み込んでくれる場合があります。薬を包む食べ物は、ひと口で飲み込める大きさにすることがポイントです。
薬を混ぜてから普段の食事を食べなくなった場合は、食事を別のものに替え、薬は食事と分けて与えることで、再び食べ始めることもあります。
ただし、療法食を与えている場合や食物アレルギー、糖尿病などの持病がある場合は、食事を変更する前に獣医師へご相談ください。
錠剤・粉薬を飲ませるときの工夫
薬の形によって、適した飲ませ方は異なります。ここでは、錠剤と粉薬の一般的な飲ませ方をご紹介します。
<錠剤の飲ませ方>
錠剤は、投薬用のオブラートや包むタイプの投薬補助食品、少量のペースト状の食品などで包むと、においや食感に気づかれにくくなります。
食べ物に隠す場合は、大きすぎると噛んだ際に錠剤だけを吐き出すことがあります。薬が見えないように包み、ひと口で飲み込める大きさに整えましょう。
口を触らせてくれる子であれば、口を開けて舌の奥に錠剤を置き、口を閉じて飲み込むのを待つ方法もあります。ただし、嫌がる子に無理に行うと、飼い主様が咬まれたり、犬や猫がけがをしたりするおそれがあります。
<粉薬の飲ませ方>
粉薬は、少量のペースト状の食品などに混ぜ、すべて舐め取れたことを確認します。水に溶かしてシリンジで与えられる薬もありますが、液体を勢いよく流し込むと誤嚥するおそれがあるため、必ず獣医師から方法を確認してください。
また、薬によっては、錠剤を砕いたりカプセルを開けたりすると、吸収のされ方や作用に影響することがあります。自己判断で薬の形を変えず、処方時に確認しましょう。
口を開けずに試せる|歯や歯茎に塗る方法
「薬を飲ませるには口を大きく開けなければならない」と思っている飼い主様もいらっしゃいます。しかし、口は開けられなくても、唇だけならめくれる犬や猫は少なくありません。
当院では、投薬用のオブラートや包むタイプの補助食品を使っても飲めない子に対して、薬を少量の練乳やペースト状の食品に混ぜ、歯や歯茎に塗る方法をご案内することがあります。

方法は、唇をそっとめくり、薬を混ぜたペーストを歯の外側や歯茎へ少量ずつ塗るだけです。口を無理に開けなくても、歯や歯茎に付いたものを舌で舐め取ってくれることがあります。頬の内側に付けるだけでは舐め取らない場合があるため、塗る位置も確認しましょう。
この方法をご案内した飼い主様から「飲ませることができました」とお聞きすることもあります。ただし、すべての犬や猫、薬に適した方法ではありません。薬を潰してもよいか、練乳などの食品を使用してもよいかは、薬の種類や持病によって異なります。薬を潰したり食品に混ぜたりする前に、獣医師へ確認してください。
無理な投薬を避け、薬の用法を守りましょう
口周りを触られることに強く抵抗する犬や猫へ無理に投薬すると、飼い主様が咬まれたり、犬や猫がけがをしたりする危険があります。一度怖い経験をすると、その後の投薬や診察まで難しくなる可能性もあるため、無理はしないようにしましょう。
直接口へ入れることが難しい場合は、においの強い食べ物に隠す方法を試すほか、薬の形や種類を変更できないか動物病院へご相談ください。薬によっては、錠剤から粉薬や液体へ変更できる場合があります。
また、薬には食前・食後・食間など、服用するタイミングが定められていることがあります。なかには、食間に与えることで想定された作用が得られる薬もあるため、処方された用法と投与量を守ることが大切です。
薬を吐き出した、投薬直後に吐いた、どの程度飲めたか分からないといった場合は、自己判断で追加投与をしないでください。薬の名前、与えた時刻、吐いた時刻、犬や猫の様子を記録し、処方を受けた動物病院へ確認しましょう。
まとめ
犬や猫が薬を飲まないときは、口を開ける方法だけにこだわる必要はありません。食べ切れる少量の食べ物や投薬補助食品を使うほか、獣医師へ確認したうえで、薬をペースト状にして歯や歯茎へ塗る方法も選択肢になります。
一方で、食事全体に薬を混ぜると、薬を残すだけでなく、食事そのものを警戒することがあります。できるだけ食事と薬を分け、その子が受け入れやすい方法を探しましょう。
薬を砕いてよいか、どのような食品に混ぜられるか、服用するタイミングを変更できるかは、薬の種類や犬・猫の状態によって異なります。
当院では、犬や猫の性格や体調、処方している薬に合わせて、飼い主様が続けやすい飲ませ方を一緒に検討しています。うまく投薬できない場合は治療を中断したり、自己判断で薬を減らしたりせず、当院までご相談ください。
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